福岡県八女市。
大自然に囲まれたのどかで新鮮な空気が広がる町です。
朝から職人夫婦が300kgを超える杉の葉をリアカーに乗せて運び、
古来より続く伝統の製法にこだわり、杉の葉から作るある物とは?
と聞かれ困りました。
八女=お茶!なんて即座に答えるのですが、杉の葉ではない・・・
ため、気になり調べてみました。
実はこの八女で作られている、杉の葉とタブの葉で作られる天然素材100%とは、
「お線香」のこと。
当地に住む馬場さんというご夫婦が伝統を継承して作っていることがわかりました!
ということで、今回はこの「杉の葉線香」のこと、
職人の馬場さん夫婦について紹介していきたいと思います。
是非最後まで読んでいただければ幸いです。
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馬場さん夫婦が作るお線香とは?
八女市上陽町の上横山地区、県道70号線沿いにあるのが、「馬場水車場」です。
全国でも希少な線香水車が残っており、川の流れ、水車のまわる音、そして
水車の横にある馬場水車場のつき臼の生み出すゴトンゴトンという音が響きます。
福岡県八女は、線香の原料になる杉粉の産地で、上陽町は
古くから杉の葉を砕いて線香の原料となる杉粉を生産する産業が盛んでした。
最盛期には40軒以上あった線香水車を持つ製粉場は、時代の流れと共に
海外産の輸入粉で作られるお線香が主流となり、安価な輸入品との競争、
後継者不足、水車から電力への転換などいくつかの理由で、
水車を使った製粉場はここを含めてたった2軒のみしか残っていません。
杉林業、水資源、豊富な自然と密接につながった仕事のため、
馬場水車場は貴重なお線香の製粉場なのです。
直径5.5mの巨大な水車が、
隣接する製粉場の15本の杵(1本60Kg)を動かす原動力となり、
杉の葉を粉砕し、杉の粉を作っていきます。
水車、杵がつき臼でつぶす音は轟音!振動!が絶え間なく続きます。
ここで作られる線香は一般に売られている香料入りのものと違い、
杉が持つ独特の香りが特徴です。
自宅に仏壇がなくても・・・お部屋で楽しむ「お香」として、気軽に使用できるため、
様々な年代の方から愛されています。
実は・・・この馬場水車場では、見学・お線香の手作り体験をすることができます。
事前連絡し、予約をして伺ってみるのもいいかもしれませんね。
杉の葉線香を作る馬場水車場の歴史は?
この馬場水車場は、大正7年に村民21名が有志となって設立した線香の製粉場です。
当時の2,360円(現在の金額に換算して約6千万円)を出資し、
井堰、水路、水車場を完成させました。
ここを昭和36年に馬場家(先代;馬場次男さん)が敷地ごと買い受けて引き継ぎ、
現在職人として活躍する馬場猛さんは2代目に当たります。
妻の千恵子さんと共に夫婦二人三脚で伝統を守り、
今でも現役で天然素材100%にこだわり作り続けています。
九州北部豪雨の際、水車という水の動力を必要とする馬場水車場は被害にあいました。
隣の自宅も床上浸水で大変なことになっていたそうです。
木製水車の寿命は約20年です。
馬場さんは還暦を間近に控えながら水車場の継続を決意し、
平成20年10月に再建しました。
こうして次世代に馬場水車場はつながっています。
杉の葉線香の製造工程は?
馬場さんは伐採後の杉山から杉葉を集め、水車を使って杉の葉を粉にします。
- 八女杉の葉を集める
- 杉の葉を乾燥する
- 杉の葉を製粉する
- 杉粉を篩いにかける
- タブの木の葉を混ぜる
- お湯を入れる
- 機械に通して成形する
八女杉の葉を集める
・・・伐採や間伐の杉山に入り、杉の枝葉を集めます。この作業は林業を営む人々にとっては、後片付けにもなります。
杉の葉を乾燥する
・・・集めた杉の枝葉から、葉に近い部分だけを切り落とし、それを火室(ひむろ)で乾燥させます。乾燥を終えるとパイプを伝い別の作業場に移されます。
杉の葉を製粉する
・・・水車の動力で15本の杵を動かし、乾燥した杉の葉を丸一日かけてつき、粉砕します。
杉粉を篩いにかける
・・・粉砕した杉粉を篩いにかけ、目の細かいものだけを20kgずつ袋詰めします。目の粗いものは、もう一度杉葉とともにつきます。
タブの木の葉を混ぜる
・・・杉粉に、タブの木の葉を粉々に潰したものを混ぜあわせます。
お湯を入れる
・・・この杉粉にタブの木の葉を混ぜたものの中にお湯を入れ、練り合わせていきます。
機械に通して成形する
・・・お湯を入れた練り物をお線香を成型する機械に通し、お線香の形を整えます。
完成!
天然素材、無添加100%の杉の葉線香は、こうして作られます。
馬場水車場は、1日に約800kgの杉葉を粉砕することができるそうです。
住所:福岡県八女市上陽町上横山1241-2
電話:0943-54-3586
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最後に
いかがでしょうか。
実は過去に九州豪雨で被害を受け、線香水車が壊れたそうです。
廃業かと危ぶまれましたが、応援する人たちにより、
水車復元、新たな気持ちで被災から立ち直られました。
杉とタブの木の葉をつき、粉砕する音が森に響く馬場水車場の馬場さんご夫婦。
いつまでもお二人がお元気でご活躍されること、
そしていつの日か後世にこの伝統技を伝えて欲しいと思います。
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