パプアニューギニアの奥地、セピック川流域の部族に伝わる
成人になるための通過儀式。
それは、皮膚を削ぎ、信仰対象であるワニ(イリエワニ)の皮膚を
模した模様を体に刻みます。
はじめて聞いた時は、驚きました。
本当に背中の皮膚が盛り上がり、まるでワニの鱗を纏っているようで、
クロコダイル・マン=ワニ男のようです。
そこで気になって調べていくと
なぜワニを信仰しているのか、ということを学ぶことができました。
(⇒ パプアニューギニア、セピック川流域で行われる皮膚を切る成人の儀式!なぜワニに?)
今回は、この成人を迎える儀式の詳細について調べたことを
紹介したいと思います。
ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
まずはおさらい!なぜセピック川流域にワニを信仰する部族がいるのか?
中でも、「ワニ」はセピック川流域で見ることのできる動物の中で
最も強くて恐ろしい動物。
そのため、ワニは霊的に強いパワーを持つ存在と言われ、信仰されてきました。
成人になるための通過儀式とは、
ワニの皮を模した模様を胸、背中、臀部などに彫ります。
彼らは、自分たちの祖先は「ワニ」だと信じ ており、15歳前後の男子は
成人するために儀式をし、乗り越えることで部族の精神・忠誠を確立し、
一人前の男として、父方の一族の一員に迎えられるのです。
実際に行われている通過儀式の内容は?
儀式は、精霊の家である「ハウスタンバラン」で行われます。
ハウスタンバランの中に入るのは通過儀式を受ける男だけです。
儀式の始まる前から・・・
実は通過儀式の洗礼が始まります。
外にいる男達は、ハウスタンバランの周囲にあるヤシの囲いを揺らして音をたて、
また、ワニの尾が水を跳ね上げるような音をたてることで、
中に待機する若者を見えない恐怖で動揺させます。
これは、儀式の前に若者たちが持っている自尊心・自惚れなどを捨てさせためです。
初日の儀式は、歌と踊りの儀式から始まります。
丸1日ある歌の儀式中も自惚れを正すことを目的とし、若者に屈辱を味わせ、
年長者や他者への敬意を学ばせるのが目的です。
若者は踊りを見ながら肌を切られる時を待ちます。
2日目は、族長がその戦いを見守る中、若者は囲いに向かって走ります。
囲いの中に年長者がおり、鋭い棒で中に入ってこようとする若者を突返してきます。
2日間の儀式で若者の自惚れが消えたところで、
いよいよ肌を切る儀式が行われます。
1人2時間かけて胸、背中、腕、足、臀部などに複雑な模様になるように
以前は鋭くとがらせた竹の棒で、今ではカミソリで
乳首の周辺から皮膚を削ぎ取っていきます。
次に、皮膚をそぎ取った傷口に特殊な樹液を塗り、傷口を膨らませます。
処理を終えた皮膚は後に、ワニのウロコのようになります。
傷の模様はワニの歯形にも似ています。
これは、儀式を通して入れた傷をワニの祖先に食べられ、
ワニと一つになったと見立てるからだそうです。
また、母親のお腹にいた時に受け継いだ母親の血を
通過儀式を受けて皮膚を切り血を流すことでその悪い血を流し出し、
儀式で父親の血のみを受け継ぐ一人前の真の男になる!と考えられています。
儀式の間は父親が息子の世話をしますが、
儀式を終えて一人前の男と認められるまで、若者は女として扱われ、
年長者から「妻」と呼ばれて屈辱を受けます。
この成人を迎える通過儀式は、数週間にも及び、時には出血がひどく、
また傷口の感染症により命を落とす危険もあるそうです。
最後に
いかがでしょうか。
約2か月後に家に戻る若者たちは、精神的にも肉体的にも大きく成長し、
一人前の真の男として部族の中に迎えられます。
はじめて画像を見た時は、痛そう・・・なんで?・・・
としか思えませんでしたが、この刻まれた無数の傷をもつ
クロコダイル・マンと言われる方たちの覚悟と真の強さ、伝統の継承などを
考える良い機会になりました。
こちらの記事では、パプアニューギニア島、セピック川の位置、
なぜワニを信仰してしるのかについて紹介しています。
⇒ パプアニューギニア、セピック川流域で行われる皮膚を切る成人の儀式!なぜワニに?
参考になる部分も多いと思うので、ぜひ一度目を通していただけると幸いです。
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