家庭で野菜、お花などの園芸をする際、植物に水を与えます。
その際に活躍するのが、如雨露(じょうろ)です。
実は、日本の伝統工芸で、この如雨露を作っている職人さん・会社が
あることを知っていますか?
その会社は、「根岸産業」で、伝統を受け継いでいる方は、根岸陽一さんです。
今回は、この根岸産業で作られている、日本の伝統工芸・如雨露について
焦点を当てて紹介していきたいと思います。
是非最後まで読んでいただければ幸いです。
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まずは、如雨露とは?
如雨露(じょうろ)とは、取っ手と注ぎ口のある、持ち運びが可能な容器です。
植物に水を与えるなどを目的として、用いられています。
17世紀にはすでに存在していたといわれており、
名前の由来は、ポルトガル語 Jorro から!だそうです。
如雨露の容量は0.5~10Lのものまであり、
目的により大きさを選べるようになっています。
小さいものは家庭内にある植物に、大きいものは庭園などで使われます。
如雨露に用いられている材料は、金属、陶磁器、プラスチック製です。
容器の下側から出ている長い管は、注ぎ口です。
注ぎ口の先端には、蓮口(はすぐち)と呼ばれる、
小さな穴のたくさん開いたキャップ状の注ぎ口を取り付けて用いられます。
これは、水を直接植物に注ぐと、
水圧により植物をいためたり、土を掘り起こしてしまうため、
蓮口を用いてシャワー状にし、水圧・水流を弱めることを目的に用いられているようです。
伝統工芸、如雨露の根岸産業・根岸陽一さんとは?
根岸産業は、墨田区堤通にある創業70年の如雨露製造メーカーです。
1944年4月、神社仏閣の屋根の職人であった初代が、
トタンで園芸金物を製造する会社として創業しました。
戦後、ちり取りなどブリキ製品を卸していたそうですが、
単価が低く、利益が少ないブリキからの路線変更・・・
このことが、如雨露づくりのきっかけになったそうです。
1960年代、2代目の故・根岸修さんが銅製の如雨露を作り始めました。
商品開発・技術向上・宣伝などを経て、銅・真鍮・ステンレスの如雨露を作り上げ、
園芸用如雨露を専門として会社を盛り上げてきまいた。
現在、如雨露づくりをされているのは、3代目の根岸陽一さんです。
この如雨露を使えば、苔を傷めず、一気に大量の水を細かくあげることができる!と
評判になり、プロの盆栽家に愛され、現在も如雨露を作り続けているのです。
実は、根岸さんは、もともとIT関連の仕事についていたそうです。
そのため、ブログやtwitterなどで情報を発信もしています。
現在は、近年の盆栽ブームによる海外の愛好家からも!受注を受けており、
ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、スペイン、チェコ、イギリス、ロシア、
オーストラリア、アメリカ、南アフリカとアジア各国にも届けています。
天皇陛下も使われている、如雨露だそうです。
根岸産業で作られている如雨露の特徴は?
根岸産業で作られている如雨露は、
製造すべての工程が手作りで根岸陽一さんが作られています。
銅如雨露が高く評価されている要因は、
如雨露を盆栽に適した散水方法に改良できたことと言われています。
しっかりとした大き目の貯水部
長い水管
水管の取り付け角度
特徴的な蓮口
持ち手は、胴体の後ろ側
持ち上げる時の持ち手は、胴体の後ろ側に付いているのは、
水やりに水道水ではなく雨水を使うことが多いためです。
これらの改良により、植物の土を掘り起こさず、苔を傷めず、
自然に降る小雨に近い優しい散水!が可能になりました。
因みに、蓮口の中の小さな穴にも特徴があり、
穴の径が内側から外側に向けてわずかに絞られているそうです。
このことが、水圧に変化を及ぼし、「小雨」を実現を可能にしました。
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最後に
いかがでしょうか。
如雨露を作る際、主要部品はハンダの溶接でされているそうです。
これは、将来修理をする際に部品を交換などしやすいため。
銅の溶接に使うハンダゴテは、温度が高ければ高いほど、しっかりと溶接できるため、
一般的な電気ゴテではなく、1300度以上にもなるコークスを使って
コテを熱している徹底ぶりです。
日本には、数々の伝統工芸が残っており、引き継いでいる職人さんの努力により
オリジナリティー、改良・進化がされていますが、
人々に愛され、長く続く工芸・産業には
やはりすごい技、意気込み、熱い思いが溢れています。
このような産業、工芸がいつまでも受け継がれ、メード・イン・ジャパンとして
胸を張って世界で活躍していることを知る良い機会になりました。
今後も益々のご活躍を応援していきたいと思います。
今回の記事では、高級如雨露、根岸産業で製造されるじょうろの紹介しました。
こちらの記事では、同じ東京の伝統工芸で日本が誇れる江戸切子について紹介しています。
⇒ 伝統工芸・江戸切子とは?ガラス器に施す芸術手技の職人技!見分けポイント・製造工程
こちらの記事では、日本の伝統工芸、山形の和傘について紹介しています。
⇒ 山形伝統工芸・和傘職人、古内清司さん!歴史・工程・特徴!番・蛇の目傘[和風総本家]
参考になる部分も多いと思うので、ぜひ一度目を通していただけると幸いです。
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